今日は、データ復旧業者の選定条件について書きます。
<結論>
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無料診断はリスクがあると覚悟すること。
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データを人質に取られたら誰も助けられない。
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顧問弁護士や法律事務所の表記に注意する。
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完全無料の善意は無い。
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人を見る目を養う。
私自身もデータ復旧業を営んでいるわけですが、これを1くくりに「データ復旧業界」と荒っぽく名付けた場合、正直、同じ扱いだと思われたくない。という正統派のデータ復旧業者も居るわけです。
と言いますのも、先日からご相談のお電話を頂いておりましたお客様から、今朝も泣きのお電話を頂きました。
データを人質にするデータ復旧業者
データ復旧と一言で言いましても、様々な故障状態があるわけです。
例えば「このデータ復旧はHDDに重度の物理障害があるので20万円です」と業者に見積もりを言われます。
単純に考えて500GB以内の容量のHDDであれば、それは高額だと(私も)思います。
お客様としては当然、他のデータ復旧業者を探して電話して現状を話し相談するのですが、HDDを持参してその場で見積もってもらっていないという事は、慌てて探して<送りつけの無料診断>に送っているのだと思います。
ここに落とし穴があって、<送りつけの無料診断>は復旧できるであろうとても大切で必要なデータが業者の手元にありますので「高額で払えないからキャンセルするので返してほしい」と伝えると「当社の専用機材で今すぐ作業にかかればデータは99%取り出せるが、一旦お返しして他の業者に持ち込むと通電しただけで壊れると思います」ってなことを言うわけです。
これは明らかにデータを人質にした強迫行為ですが、<送りつけの無料診断>を依頼したのは、慌ててネットや電話帳で探してそこを選んだお客様の責任です。
そのデータ復旧業者の言っていることが嘘か本当か? いったい誰に分かりますか?
ホームページに弁護士事務所名や顧問弁護士の名前を表示している
いくら困って慌てているとはいえ、広告を打ってネットで調べて検索しやすい場所に出てくるデータ復旧業者というのは、普段から広告費を出していて、その広告費用はお客様から頂く料金に実作業料+広告宣伝経費として加算されているはずです。
ましてや、<送りつけの無料診断>に出した後にホームページを調べたら、顧問弁護士や弁護士事務署名がつらつらと表示してあった。なんていうのは、ほぼ確信犯です。普通に考えてください。お客様にクレームを頂いて、例えばお客様がその困った仕打ちをブログやホームページに書くとします。当然その業者は顧問弁護士を使って、お客様の記述に対し名誉毀損の訴えを起すだろう事を示唆しているわけです。
弁護士や法律事務所の記載があるデータ復旧業者は「喧嘩上等」と謳っているのが見え見えです。
これは、かなり恐ろしいことです。私もそういう業者とはお付き合いしたくありません。
この資本主義社会に完全無料の善意は無い
ウイルス感染のきっかけも、データ復旧業者の選定も同じですが、現在私たちが生きている社会の中で、完全無料の善意はありません。会社組織であれば営利目的で事業をしているわけですから、初期診断無料でお客様のデータ復旧可否判断をすると言う事は、その工数などの人件費や消耗品費、家賃などの固定費や光熱費はいったい誰が払っているのでしょうか?
当然、依頼者であるお客様の支払う金額の中から支出しているんです。
つまり、無料診断をすればするほど1件当たりのデータ復旧料金負担が増える。ということです。ですから、データを人質に取ってでも<送りつけの無料診断>に出したお客様を放さないわけです。
人を見る目を養い育むしかない
修理人は、独立してかれこれ13年くらいMacやPCの修理や、TEAC時代に培った(苦労した)経験を元に故障したデータ記憶媒体からのデータ復旧を生業としていますが、上に書いたような悪徳業者は減らず逆に増えていますし、そこで泣かされたお客様からのご相談も増えているので、私の商売は全く困っていませんが、気持ちは悲しくなっていっていることは事実です。
ですから、せめて当店を選定してわざわざお越し頂き、対面でお顔を見ながら不具合診断させていただけた方々にだけ、本当のことだけをお伝えしています。
真実はどこにある? と聞かれれば「皆様の心の中に必ずある」とお答えしております。
では、皆様も充分ご注意下さい。私も精進します。